雑味がなく骨太な味わい。
奥大山(おくだいせん)の昼夜の寒暖差が大きい気候で、冬に積もった雪どけ水をたっぷり含んだ田んぼで酒米を作り、その酒米を標高800メートルのブナ林がろ過する超軟水の湧水で仕込まれる。
明治10(1878)年創業の大岩酒造本店がつくる日本酒は鳥取県の大自然が育む恵みの結晶です。
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年間で最も寒い季節に行われる仕込み作業の最中。
奥大山で唯一の酒蔵、『大岩酒造本店』の大岩一彦社長を訪ねました。
奥大山とは、鳥取県の大山南麓から、岡山県との県境に至る高原地帯。
この地は、肥沃な黒ボク土壌、そして大山のブナ原生林を源流とする湧水に恵まれ、おいしい米、酒米、農作物の宝庫です。
生産者:(有)大岩酒造本店(鳥取県日野郡江府町) 大岩一彦さん
大岩酒造本店の創業は、明治10(1878)年。初代当主の大岩房太郎氏が、ここ奥大山の江府町に酒蔵を興したのが始まりです。代表銘柄の『秀峰岩泉』は、冬に積もった雪どけ水をたっぷり含んだ田んぼで作り、昼夜の寒暖差が大きい気候で育つ地元の酒米と、標高800メートルのブナ林がろ過する超軟水の湧水で仕込まれます。
「創業から、地元の恵みの米と水を使ってこそ地酒という想いで醸しています。生産者の顔が見える酒造りを続けていきたい」と話す大岩社長は5代目。代々の酒造りを担ってきた出雲杜氏が高齢で引退した後はオーナー杜氏となり、2018年には日本酒の原点・生もと(きもと)造りの『純米原酒岩泉』を誕生させました。
米と麹、水が原料の日本酒の三大要素は、「一麹」「二もと」「三造り」とも言われます。
生もと(きもと)造りとは、「もと(酒母)」を手作りし、米の旨みを最大限に引き出す製法。酒蔵に生息する自然の乳酸菌を、醪のベースとなる「もと」の中で増殖させて雑菌が繁殖しにくい環境を作り、酵母の増殖を促がすという、昔ながらの日本酒の造り方です。
人工の乳酸を添加する速醸「もと」と比べ、倍以上の時間と手間がかかりますが、手作りの「もと」で育つ酵母菌は生命力があり、余分な糖分を残さないのが大きな特徴です。
酒蔵を訪れた2月18日は、生もと(きもと)づくりの酒母に麹、蒸米、水を加えて醪を作る、三段仕込みの最終日でした。仕込みは、初添え、踊り(休み)、中添、留め添えと、全4日間。酵母の様子を見て、ゆっくり発酵させるのです。江府町で栽培した海藻米の山田錦を精米70%歩合に仕上げ、洗米して水温6〜7℃で7時間浸け置いた後、蒸して放冷機で2分半冷却してからタンクへ投入。約1カ月発酵させた後、『生もと(きもと) 純米原酒 岩泉』は、搾りの時を迎えます。
日本食品工業バイヤー:坂上 武