そのおいしさは、たとえば一杯の味噌汁を飲み終わった後にしみじみと感じていただけます。
ひとくち目をすすった時の、「あっ」というインパクト。
しかし、それはだし自体の個性を主張するものではありません。
でも、最後にお椀をおいた時に訪れる”ほっとする”瞬間。
そこに「日食かつお風味だしの素」が醸し出す絶妙な味わいがあるのです。
鰹と昆布がもたらす天然のうま味は、素材の味を立ち上がらせ、料理全体に深みとふくらみをもたらしてくれます。
この伝統的な自然調味料を、家庭で手軽に楽しむことができたら・・・。
そんな発想から、天然素材を使った「だしの素」の製造に着手したのは昭和四八年のことでした。
しかも、そのチャレンジは日本初のもの。
前例も経験もない手探りの果てに「日食かつお風味だしの素」が誕生した陰には一人の開発技術者の情熱があったのです。
”手軽でおいしく”を支える
厳選された天然原料と手間暇かけた製法
「うま味を引き出す調味料のバランスがおいしさのポイント。
でも、数字では簡単に表せるものじゃありません。最後は自分のベロ(舌)メーターを信じるだけです。」
「日食かつお風味だしの素」の開発に携わった浜田工場の濱崎光男元工場長の言葉です。
昭和44年の弊社創立以来、初代社長・中西秀夫と共に天然醸造の醤油醸造を手がけ、次なる主力製品の開発に意欲を燃やした技術者なのです。
工場が位置する島根県浜田市から、日食本社がある鳥取県境港市までは片道約150Km。
その道のりを数えきれないほど車で往復したことも「楽しい思い出」と言い切れるほど、天然素材を使った「だしの素」製造は濱崎工場長を夢中にさせていました。
「当初から鰹と昆布にこだわりました。
そして、使いやすさを考え粉末状に仕上げ個別包装で販売するようにしましたが、天然原料ならではの難しさがありました。
昆布は吸湿性が高く、固まりやすい性質を持っているので、室内の温度と湿度、特に空調には気を使いました。
それに当時は包装機の設備が無く、手作業になるため、家内と二人で気が遠くなるほどの量をさばいたものです。」
また、同じく天然原料の鰹は、工場できめ細かく粉状に処理されます。
それはまるで”きな粉”のようなサラサラした手触り。
でも香りは鰹そのもので、このひと粒が”うま味の素”なのだと実感させてくれました。
これら天然原料と調味料を絶妙の匙加減でブレンドし、第1号の「日食かつお風味だしの素」が誕生しました。
食を取り巻く環境や味の好みは時代と共に変化していきます。
そんな中で飽きることなく常に側に置いておきたい味があります。
ひょっとするとそれは真新しさは無くとも、人間が無意識に求める自然の味なのかも知れません。
「日食かつお風味だしの素」には、初代社長が掲げた「自然と人工の調和」の精神と、それを体現しようとする技術者達の熱意がこめられています。